ホスピタリティが溢れました

先日、北アルプスの燕岳を訪れました。
 「北アルプスの女王」と称されるその姿は本当に美しく、宿泊した燕山荘では、人気山小屋としての評判に違わぬ、すばらしい接遇を体感しました。
 登山という非日常の中で、期待を超えるホスピタリティに触れたことは、私にとって忘れがたい経験となりました。

 その帰路、思いがけずJR東海の忘れ物対応にお世話になることとなりました。
 実は昨年も、北陸新幹線で忘れ物をし、JR西日本の方々にお世話になったのですが、今回も同様に忘れ物をしてしまい、列車内・駅構内・改札付近と、どこで紛失したかの特定が困難な状況でした。

 JR東海では、LINEを活用した「忘れ物検索システム」を導入しており、利用者は友だち登録を通じて、氏名・連絡先・忘れ物の特徴・心当たりの場所を簡易に登録できました。
 翌日には「名古屋駅に該当品が届いている」との通知が届き、さらに「駅から電話連絡がある」と明記されていました。実際に名古屋駅から丁寧な電話をいただき、着払いでの宅配手配をお願いしたところ、翌日には無事に手元に届きました。

 昨年の対応と比較すると、JR東海のシステム設計と運用には、明確な「利用者視点」が意識されていると感じました。
 JR東日本では、忘れ物が保管されている長野駅への連絡を求められたものの、電話番号は非公開で、JR西日本の駅に出向く必要がありました。一方、JR東海では、本人受け取り・代理受け取り・宅配希望の各ケースに対する留意事項が通知内に明記されており、旅行者の行動特性を踏まえた運用がなされていました。

 鉄道会社の忘れ物対応は、通勤通学など日常利用を前提とした「駅での本人受け取り」が基本方針であることが多い中、JR東海は新幹線や特急列車を利用する旅行者のニーズに応える仕組みを構築していました。
 電話窓口の担当者の対応も非常に丁寧で、安心感を持ってやり取りができました。

 この一連の体験を通じて、私は「ホスピタリティとは何か」を改めて考えさせられました。
 それは単なるサービス提供ではなく、利用者の状況や気持ちに寄り添い、先回りして不安や不便を解消する姿勢が必要であり、業務設計やシステム運用においても、こうした視点が組み込まれているかどうかが、顧客満足度を大きく左右すると感じました。

 私自身も、今後はこの感動体験を糧に、誰かの「忘れられない体験」を創出する側に立ちたい。業務の効率性だけでなく、心に残る価値を提供できるよう、ホスピタリティの視点を業務に取り入れていきたいと思いました。