貸金庫の窃盗事案で思うこと
銀行の貸金庫から顧客の資産を窃盗する事案が相次いでいます。
一部では、貸金庫の新規受付停止など、貸金庫サービスの在り方について検討が進んでいるようです。
私自身も貸金庫を利用しており、不動産関係書類や保険証書などを預けています。
先日貸金庫を利用した際の印象ですが、入室受付対応オペレーションが少し変化しているように感じました。なお、詳細の説明は致しません。
・今回の事案は、銀行の信頼を揺るがす重大なものです。
利用者にとって銀行の貸金庫は、厳重なセキュリティが施され、火災、盗難、紛失などのリスクから大切な資産を守るための最も信頼性の高いサービスです。
しかしながら、今回のような事案が立て続けに表面化して、利用者の安心感は大きく揺らいでしました。
内部不正を無くすことや、不注意によるミスの発生をゼロにすることは困難であると考えます。
銀行も、対策は当然講じてきたはずです。
コンプライアンスに関する教育を実施して、従業者のリテラシーやモラルの向上を図る。
定期的に監査を実施する。
監視カメラの設置やセキュリティシステムを適応する。
など、マネジメントを継続してきたはずですが、機能していなかった。各対処策が形骸化していたのではないでしょうか、、、、。
・どうして機能不全に陥ったのでしょうか。対処策が形骸化したのでしょうか。
内部不正が発生する根本原因として、当該業務への組織の無関心が挙げられます。
NTT西日本グループで発生した個人情報漏えい事案も、当該業務への組織の無関心が一因となっていました。
無関心が内部統制にほころびが生じさせ、従業者が不正を行ってしまう環境や動機を生むことにつながります。
銀行にとって、貸金庫業務は大切な業務ですが、その重要性はだんだん薄れてきているのではないでしょうか。
貸金庫業務に対して、ヒト・モノ・カネなどリソースが適切に配分されていなかったのでないでしょうか。
・組織には、長年同じ従業者に従事させている業務があります。
その業務は属人化されており、閉鎖された環境で実施されています。従業者に与えられているシステム権限が職責や業務範囲を超えている場合もあります。
マネジャーは部下を信頼し任せっ切りになっています。課題が発生しても表面化されません。組織は当該業務に対して無関心です。
今回の事案を踏まえて、銀行は貸金庫業務の現状を確認、課題を抽出して、必要な対処を図り、社会の信頼を取り戻す。利用者は過信せず、自らの資産は自らで守る意識を高めて、情報管理、資産管理の在り方を再構築する必要があると思います。
銀行もセキュリティ機能を強化してサービスを向上する。もしかしたら、貸金庫業務から撤退しリスクの発生をゼロにする方向に舵を切るかもしれません。
銀行の貸金庫から顧客の資産が盗まれることはほとんどなくなるのではないでしょうか。
・私たちが実施すべきことは、組織内で目の行き届いていない業務、「貸金庫業務」に目を向け、足元を見つめ直すこと。
業務の現状を確認して、リスクがあるのであれば、不正の発生を未然に防止するための対処を施すことではないでしょうか。
監視体制を強化する、チェック機能を強化すると言うよりは、日々の声かけ、目配りやコミュニケーションの活性化など、組織内の人間的な関りを増やすことから始めることが有効ではないでしょうか。